http://snowdrop0202.oboroduki.com/ [Snow Drop]


もっと名前を呼んで。声が枯れるくらい、ずっと。


「梓、俺、梓が大好きだぞ!!!」

彼はいつもそう言って、僕をぎゅうっ、っと抱きしめる。
苦しいくらいに、隙間なんかなくなれ、とでも言うかのように。
そんなときだけは、僕はちゃんと素直になって、抱きしめ返す。

「梓、梓。あずさ。」
「…うん、なに?」

翼は、何度も、何度も繰り返し、僕の名前を呼ぶ。
飽きずに、なんども、なんども。
そうして、合間にキスをして、また名前を呼んで、抱きしめて。
どうしてだろうか。

(それが、こんなに嬉しいなんて。)

他人に興味は特に無かった。
でも、翼は別。
昔から、僕の心を離さない。
どんなことよりも、その事実が、僕には不思議で。
そして、そうやって思うたびに行きつく結論はいつも同じ。
翼が僕を愛してくれるから。
僕が、翼を愛しているから。
「ねえ、翼。」

もっと名前を呼んで。声が枯れるくらい、ずっと。

(かわりに僕は、翼を心で呼んでいるから。)

前回は翼だったので、梓の視点で1話書きたいなぁ、と思ったらこの様でした。
梓は翼好きなんだけど積極的にはなれなさそうな感じ。地味に照れる。
幼少期は梓が積極的で高校からは翼が積極的な翼梓だったらすごくおいしいです、公式アニメ本当にありがとう←